「白いご飯は、白い容器じゃないと食べられない」
——ASD娘のお弁当事情は、想像以上に大変。5つのグッズで、3年続けたお弁当生活を支える方法を公開します。
はじめに
ASDのお子さんを育てる家庭の多くが直面するお弁当問題。
「普通の親が普通に作れば食べてくれる」というイメージから、ASD娘のお弁当は遥か遠い。強い偏食、感覚過敏、こだわり——お弁当ひとつ作るのに、多くの試行錯誤が必要でした。
我が家がたどり着いた5つのお弁当グッズを、実体験ベースでご紹介します。
ASD娘のお弁当への「こだわり」一覧
まず、我が家のASD娘(中3)のこだわりを、率直に紹介します。
食べ物のこだわり
- 食材の重なりNG(ご飯とおかずが触れたら食べない)
- 色の組み合わせ(緑系野菜と白いご飯はOK、茶色いおかずと白いご飯はNG)
- 温度(温かいと食べない、完全に冷めてから)
- 食感(べちゃっとしたものNG、シャキシャキNG、軟らかすぎNG)
容器のこだわり
- 白い容器 でないとダメ
- 仕切りが細かい(食材が触れない)
- 蓋に密閉感がある(汁が漏れない)
- 箸は持ち手が木目調 のもの
食べる場所・人
- 友達と一緒には食べたくない(教室の隅で1人)
- 同じ位置に座る(席が変わると食べられない)
これらすべてを満たすお弁当を、毎朝作る のが、我が家の朝の重大ミッションです。
なぜASDの子はお弁当が大変なのか
「わがまま」ではなく、ASDの特性として理解する必要があります¹。
1. 感覚過敏
ASDのお子さんの多くが、触覚・嗅覚・味覚の感覚過敏 を持ちます²。「普通の食材」が、ASDの子には激しい刺激として体感される。
2. 同一性へのこだわり
「いつもと同じ」が安心の源³。少しでも違うと、強い不安を感じる。
3. 食べ物の見た目への注目
「茶色いものは怖い」「白くて整っているものは安全」という、視覚的な判断が強い。
4. ルーチンの安心感
毎日同じお弁当の方が、心が落ち着く。「バリエーション豊富」が、必ずしもASDの子には嬉しいものではない。
5つのお弁当グッズ
ここから、我が家で実際に効いた5つのグッズ をご紹介します。
グッズ1:白いお弁当箱(必須)
「白い容器でないと食べられない」というこだわりに対応するため、完全に白いお弁当箱 を採用。
我が家が使っているもの
- 無印良品 ホーロー保存容器(白) や
- iwaki 耐熱ガラス保存容器(透明・白枠)
ポイント
- 完全な白 であること(クリーム色や生成りはNGなことが多い)
- 蓋もできれば白(または透明)
- 角の丸み(直角だとなぜか嫌がる)
グッズ2:仕切り・カップ類
食材が触れないよう、個別の仕切りを使います。
我が家の必需品
- シリコンカップ(白)
- アルミカップ(銀ピカNG、つや消しタイプ)
- おかずカップ(複数色NG、白か無地)
- ワックスペーパー(食材を完全に分離)
ポイント
- キャラクター柄NG(感覚過敏には派手な絵柄が刺激)
- 無地・シンプル が正解
- 再利用可能 なシリコンが経済的
グッズ3:温度キープができるお弁当バッグ
ASD娘は「完全に冷めた状態」を好みます。温度キープ機能のあるバッグ で、温度を安定させます。
我が家が使っているもの
- 保温保冷バッグ(白色)
- 中に保冷剤を入れる(夏)
- アルミ蒸着の内張り で温度キープ
ポイント
- 季節に応じた使い分け(夏は冷たく、冬は常温)
- 持ち手が太め(感覚過敏で細い紐は苦手)
- シンプルなデザイン
グッズ4:こだわり対応の箸セット
「箸は持ち手が木目調」というこだわりに対応。
我が家の選択
- 無印良品の白木箸ケースセット
- 箸の長さ:18cmぴったり(他のサイズはNG)
- 箸ケースもシンプル(キャラクターなし)
ポイント
- 同じものを複数買い(なくしたら同じ予備が必要)
- 箸とケースのセットで揃える
- 替えがすぐ買えるブランドを選ぶ
グッズ5:ご飯の量を一定にする「ご飯型」
毎日のご飯の量が少しでも違うと気になる娘。ご飯型(ライス型) で、毎日同じ形・同じ量にします。
我が家の使い方
- ご飯型(楕円形・白) で同じ形を作る
- 計量カップ で毎日同じ量を測る
- 同じ位置にセット する
これで「ご飯量が違う」というクレームが解消されました。
我が家の朝のお弁当ルーチン
5つのグッズを揃えた後の、毎朝のお弁当作りの流れ:
6:30 起床
6:35 ご飯を計量(毎日同じ量)
6:40 おかずの準備(3-4品、必ず固定)
- メイン:鶏のから揚げ(週3) または 卵焼き
- 副菜1:いんげんのおひたし
- 副菜2:プチトマト(2個固定)
- 副菜3:白いウィンナー(週2)
6:50 ご飯型でご飯を成形
6:55 各おかずをシリコンカップへ
7:00 完成、保冷剤と一緒にバッグへ
毎日ほぼ同じメニュー。バリエーションは月に1回程度の微調整のみ。
試行錯誤の歴史(失敗から学んだこと)
失敗1:バリエーションを増やそうとした
「毎日同じだと栄養が偏る」と思い、新メニューを試したら全く食べずに残してきた。
→ 教訓:ASDの食事はバリエーションではなく安定が大切。
失敗2:キャラ弁を作ろうとした
「喜んでくれるかな」と凝った弁当を作ったら、怖がって食べられなかった(キャラの目が嫌だった様子)。
→ 教訓:シンプル・整然・予測可能が安心。
失敗3:学校の指定容器を使った
学校から「この大きさで」と指定されたが、白くなかった → 食べられず。学校と相談して例外対応してもらった。
→ 教訓:学校との配慮交渉は必要不可欠。
失敗4:野菜を隠そうとした
ハンバーグに玉ねぎを刻んで混ぜたら、食感で気づかれて全部出してきた。
→ 教訓:ごまかしは効かない。食べられる範囲で栄養を工夫。
学校との連携
お弁当問題は、学校との連携で解決できる部分があります。
担任の先生への共有
- ASDの食事の特性を伝える
- 「残してしまう日もある」ことを理解してもらう
- 食事の場所を個別に配慮(教室の隅、職員室など)してもらう
給食ではなくお弁当(中学・高校)
中学・高校ではお弁当持参 が一般的。給食制の小学校では、配慮を相談することで対応可能な場合あり。
進路の選択
お弁当持参可能な学校を進路選択の基準に入れることも。我が家は中学からお弁当制の学校を選びました。
親側のメンタルケア
お弁当作りは、毎朝の重圧になります。親側の心構えも大切です。
1. 「完璧」を求めない
毎日栄養バランス満点を目指さない。食べてくれることを最優先。
2. 冷凍食品を活用
罪悪感を捨て、冷凍食品を上手に使う。自分の時間と心を大切に。
3. 作り置きを駆使
週末に1週間分の副菜を作り置き。朝の負担を減らす。
4. 家族で交代
可能なら家族で交代してお弁当作り。一人で抱え込まない。
まとめ
ASD娘のお弁当問題を解決した5つのグッズ:
- 白いお弁当箱(完全に白で角の丸いもの)
- 仕切り・カップ類(無地・シンプル)
- 温度キープのお弁当バッグ(完全に冷ますため)
- こだわり対応の箸セット(木目調・同じ長さ)
- ご飯型(毎日同じ量・形)
これらすべてを揃えるのに、初期費用はAmazonで確認。
しかし、これで3年間お弁当が続いている ことを考えると、コスパは抜群。
「何を食べさせるか」より「どう作るか」が、ASD子育てのお弁当の鍵です。
出典・参考情報
-
国立特別支援教育総合研究所
https://www.nise.go.jp/ -
ASD感覚過敏研究
https://www.ncnp.go.jp/ -
一般社団法人日本自閉症協会
http://www.autism.or.jp/
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